釣り竿は、外から見えるガイドやリールシートを外してしまうと、一本の細い管が残ります。竿の芯になるこの部分を「ロッドブランク」と呼ぶそうです。
栃木県栃木市岩舟町の合資会社ひまわりは、このロッドブランクと、同じ作り方でできるFRPパイプを作っている会社。サイトの最初に置かれている言葉は、こうです。
釣竿/ロッドブランクは、全てオーダーメイドで製作します。
ロッドブランクは、個人でも注文できる?
できる、とサイトにははっきり書かれています。
少数ロットはもちろんのこと、1本からでもお作りいたします。
相手は企業から個人まで。試作や開発、量産だけでなく、小ロットの製作やメンテナンス、修理まで受けているとのこと。フライロッド、バスロッド、ルアーロッドのほか、スペーサーパイプやグリップパイプといった細かな部品も作れるそうです。
ロッドの素材は、大きく分けてカーボンとグラスの二つ。サイトの説明を短くまとめると、こうなります。
- 低弾性カーボン:粘りがあり、よく曲がる。
- 高弾性カーボン:感度がよく、反発が強い。そのぶん竿を軽くできる。
- グラス:カーボンよりさらに曲がりやすい。中まで詰まったソリッドは重さがあるぶん丈夫で、船からの置き竿によく使われる。
どの素材で、どんな調子に、何色に塗るか。それを決めるのは注文する側です。ロゴマークや名前の印刷もできるといいます。
研磨の工房から、どうして竿づくりへ?
始まりは昭和50年6月。「横塚研磨」という名前で、パイプの加工から仕事を始めています。
数年後、釣り竿を作るようになって「横塚釣竿製作所」に。やがて竿以外のパイプ製品が増えて「ヨコヅカ」へ。平成17年3月に合資会社ひまわりを設立し、いまはこの名前ひとつで営業しているそうです。
屋号が変わるたびに、手がけるものが一つずつ広がってきたことがわかります。研磨から竿へ、竿からパイプへ。ロッドブランクの製造は40年を超えました。
一本のブランクは、どうやってできる?
サイトには、図面から完成までの工程が16に分けて載っています。
まず、客と打ち合わせて、どんな竿やパイプにするかを決め、図面を引く。材料のプリプレグ(樹脂をしみこませた炭素やガラスの繊維のシート)は、冷凍庫や冷蔵庫で保管しておくもの。この材料を、図面のとおりに裁断機か手作業で切り出します。
切ったシートを巻きつける芯が、マンドレルと呼ばれる金型。離型剤と接着剤を塗ったマンドレルに、熱と圧力でシートを貼り、台の上で転がして巻きつける。その上からテープをきつく巻いて締め、焼成炉に吊るして樹脂を固める。
固まったら、マンドレルを引き抜き、テープをはがす。両端を切りそろえ、表面を研ぎ、竿の継ぎ目のように寸法が大事なところは、砥石の機械でさらに削って合わせる。そこから塗装、ロゴの印刷、部品の取り付けへと進みます。
なかには、こんな一文もありました。
角度を付けて裁断(張り合わせてねじれ強度アップ)。
繊維の向きをずらして重ねることで、ねじれに強くなる。切り方ひとつにも理由があるということです。塗装は「しごき塗装」が多いものの、ときには吹き付けで仕上げることもあるそうです。
竿のほかには、何を作っている?
同じ作り方でできるFRPパイプも、この会社のもう一つの柱です。サイトでは、FRPの持ち味を「軽く」「強く」「腐らない」と言い表しています。作れるのは内径0.45mmの細いものから外径80mm、長さ4,000mmまで。それより太いものは相談に応じるとのこと。
事例のページに並ぶ用途は、釣り道具の枠に収まりません。
- アンテナやカメラ用のアーム、ロボットアーム、ドローンのフレーム
- 物干し竿、手すり、杖、植木や野菜の支柱
- アーチェリーや弓道の矢、吹き矢の筒、スキーストック、ゲートボールのシャフト
- よさこいや応援の旗竿、昆虫採集の網の柄
- 人力飛行機(鳥人間コンテスト)の機体に使うカーボンパイプ
釣り竿も、フライロッドから磯竿、船竿、へら竿、鮎竿、渓流竿まで。暮らしのなかで「細くて、軽くて、丈夫な棒」が要る場面の多くに、どこかでつながっているように見えます。
大切にしていることは?
代表の横塚勇気さんは、会社のページでこう書いています。
創業以来、「確かな品質」「柔軟な対応」「人とのつながり」を大切に、お客様に寄り添っていただける製品づくりを追求してまいりました。
従業員は8名。地域と社員と客とともにものづくりをしている、という一文もあります。
1本から受けること、図面の前にまず打ち合わせをすること。サイトに書かれた仕事の進め方は、この三つの言葉とそのまま重なって見えます。
注文する前に知っておきたいこと
- すべてオーダーメイド。サイトに価格の掲載はないため、仕様を伝えて見積もりを。
- 問い合わせは電話・FAX・メール。オンラインの注文フォームはなし。
- 1本から注文でき、企業だけでなく個人でも受けている。
- 修理やメンテナンスの相談もできる。
この記事は、合資会社ひまわりのウェブサイトに載っている内容をもとに構成しています。
