自分で作ったアクセサリーや木工の小物を、フリマアプリやネットショップで売ってみたい。そう思ったときに、まず確かめておきたいことをまとめました。
結論から言うと、最初に「どこで売るか」を決めると、守るルールと準備することが見えてきます。個人でも作品を繰り返し売るなら、特定商取引法(特商法)の「販売業者」にあたることがあり、名前や住所などの表記が必要になります。ただし自宅の住所は、条件を満たせば出さずに済む方法があります。
この記事は、消費者庁や都道府県の公開資料、各販売サービスの案内をもとに調べた内容です(2026年10月19日時点)。法律の細かい判断は、最後に紹介する相談先で確かめてください。
手作りの作品はどこで売れる?
ネットで作品を売る場所は、大きく3つのタイプに分けられます。どこで売るかによって、表記の準備を誰がどこまで手伝ってくれるかが変わります。
| タイプ | 主なサービス | 向いている人 | 特商法の表記 | 気をつけること |
|---|---|---|---|---|
| フリマアプリ | メルカリ など | まず1つ売ってみたい人 | 【要確認:個人間取引での扱い、事業者向けサービス(メルカリShops)との違い】 | 不用品と同じ場所で売るので、「販売業者」かどうかの区別があいまいになりやすい |
| ハンドメイドマーケット | minne、Creema | 作品を見てもらう場がほしい人 | サービスの画面で入力する。住所の非公開設定はサービスによって違う(後で説明します) | 手数料 【要確認】 |
| 自分のネットショップ | BASE、STORES | 自分の屋号で続けて売りたい人 | ショップの管理画面で表記ページを作る。個人なら住所を非公開にできる設定あり | 集客は自分でする。手数料・月額 【要確認】 |
はじめての方がよく迷うのは、「フリマアプリなら気軽に売っていいのでは」という点です。売る場所が気軽でも、作品を作って繰り返し売るなら、ルールの上では「販売」です。次の章で、その線引きを見ていきます。
個人でも「販売業者」になる?不用品を売るのとの違い
特商法では、個人であっても、**利益を得るつもりで(営利の意思)、繰り返し続けて(反復継続)**売る人は「販売業者」として扱われます。家で使わなくなった物をたまに手放すのとは、ここが違います。
では、どのくらいから「繰り返し」になるのでしょうか。消費者庁は、ネットオークションについて目安を出しています。
- 過去1か月に200点以上、または一時点で100点以上の商品を新しく出品している
- 落札額の合計が、過去1か月に100万円以上
- 落札額の合計が、過去1年間に1,000万円以上
(出典:消費者庁「インターネット・オークションにおける『販売業者』に係るガイドライン」)
ここで気をつけたいことが2つあります。
- この目安はネットオークション向けのものです。ガイドラインの中でも、オークションの特性をふまえて作ったもので、ほかの取引にそのまま当てはめるものではない、とされています。フリマアプリやネットショップでの判断の基準ではありません。
- ガイドラインには「これらを下回っていれば販売業者でないとは限らない」と書かれています。数が少なくても、売るために作って繰り返し出品していれば、販売業者にあたる可能性があります。
手作りの作品は、もともと「売るために作ったもの」です。不用品の処分とは性質が違うので、売り続けるつもりなら、販売業者として表記を準備しておくと安心です。【要目視確認:この結論の言い切り方でよいか。消費者庁・消費生活センターの見解と照合】【要確認:感想】
特商法の表記には何を書く?自宅住所を出さずに済む方法
表記に書くこと
ネットで売るときは、商品ページや「特定商取引法に基づく表記」のページに、次のようなことを書きます(主なもの)。
- 販売価格と送料
- 代金の支払い時期と方法
- 商品を届ける時期
- 返品についての決まり(返品を受けない場合もその旨)
- 事業者の氏名(名称)、住所、電話番号
(出典:消費者庁 特定商取引法ガイド「通信販売」。項目はほかにもあるので、全体はリンク先で確認してください)
躓きやすいのが名前です。個人の場合、屋号やショップ名だけの表記は認められていません。戸籍上の氏名(または登記した商号)を書く必要があります。
自宅の住所を出さずに済む方法は2つ
1. 「請求があればすぐに知らせます」と書いて省略する
住所や電話番号は、「請求があれば遅滞なく(すぐに)お知らせします」と表記し、実際に請求があったときにすぐ送れるようにしておけば、省略できます。ただし、返品の決まりなど、省略できない項目もあります。
2. 販売サービスの住所を代わりに表示する
販売サービスの住所や電話番号を代わりに表示する方法もあります。消費者庁は、次の条件をすべて満たす場合にこれを認めています。
- 取引がそのサービス上で行われていること
- サービスの住所・電話番号を連絡先として使うことに、運営会社と合意していること
- 運営会社が、出品者の今の住所と本人名義の電話番号を把握していて、確実に連絡がつくこと
なお、私書箱は「住所」としては認められません。バーチャルオフィスは、上の条件を満たす場合に使える、とされています。
サービスごとの非公開設定
| サービス | 住所・電話番号の非公開 | 代わりに表示されるもの | 確認した案内 |
|---|---|---|---|
| BASE | 個人ならできる(2022年1月から) | BASE株式会社の所在地・連絡先 | コマースピック 2022-01-12【要確認:BASE公式ヘルプで現行仕様】 |
| STORES | 個人・個人事業主ならできる(2022年5月から) | 運営会社の所在地・電話番号 | ネットショップ担当者フォーラム 2022-05-13【要確認:STORES公式ヘルプで現行仕様】 |
| minne | 販売業者にあたる個人ならできる(2022年1月から) | minne運営会社の所在地・連絡先 | minne お知らせ 2022-01-25 |
| Creema | 【要確認:公式ヘルプでは設定した住所・電話番号が購入者に表示されると案内。代わりの表示ができるかは未確認】 | 【要確認】 | Creema ヘルプ |
| メルカリ | 【要確認】 | 【要確認】 | 【要確認】 |
どのサービスでも、非公開にしたうえで本当の住所と電話番号の登録は必要です。購入者とのトラブルがあったときは、運営会社が出品者の情報を伝えることがある、と案内されています(BASE・STORES・minne)。
もう一つ見落としやすいのが、荷物の送り主の欄です。minneの案内では、非公開にできるのは表記のページだけで、発送元の住所は自分で書く必要があるとされています。住所を知られたくない場合は、匿名で送れる配送方法があるかも、売る場所を選ぶときに確かめておきましょう。【要確認:各サービスの匿名配送の有無】
作るものによっては許可が要る?
作品の種類によっては、表記とは別に、作ったり売ったりするための許可が要るものがあります。ここでは「こういうものがある」という紹介にとどめ、詳しくは別の記事で取り上げます。【要確認:別記事のリンク】
- 手作り石けん:体を洗うための石けんは、法律上「化粧品」にあたります。作って売るには、化粧品の製造業と製造販売業の許可が必要です(出典:神奈川県「手作り石けんの取扱いにご注意を」)。
- ジャム・お菓子・漬物などの食品:食品を作って売るには、保健所の営業許可などが必要になる場合があります。漬物は2021年6月から許可制になりました(出典:広島県の漬物の許可についての案内)。【要目視確認:食品全般の書き方。厚生労働省のページへのリンク】
手作りのものでも、口に入るもの・肌に触れるものは、決まりが厳しくなっていることが多いので、作り始める前に確かめておくと安心です。
売り始める前に確かめておきたいこと
- どこで売るかを決める:フリマアプリ、ハンドメイドマーケット、自分のネットショップのどれにするか。
- 作るものに許可が要らないか確かめる:石けん・食品などは、都道府県の担当課や保健所に聞いておく。
- 表記を準備する:氏名(屋号だけは不可)、住所、電話番号、価格、送料、支払い方法、届ける時期、返品の決まり。
- 住所の出し方を決める:「請求があれば知らせる」と書くか、サービスの非公開設定を使うか。発送元の住所の扱いもあわせて。
- 返品の決まりを書いておく:返品を受けない場合も、その旨を表記する。
迷ったときの相談先
- 特商法の表記や「販売業者」にあたるか:お住まいの地域の消費生活センター(消費者ホットライン「188」)【要目視確認:事業者からの相談を受けているか】
- 石けんなどの化粧品:都道府県の薬務担当課
- 食品:お住まいの地域の保健所
この記事に出てくるひと
なし(調べてみた記事のため)
