しかた記事 やり方

自分で作った野菜や小物を、個人が売ってもいいの?

目次
  1. 自分で作った野菜や小物を、個人が売ってもいいの?
  2. どこで売るのが無難?売り先を比べてみました
  3. 直売所に出すって、どんな感じ?
  4. 野菜を売るときに、気をつけるルールは?
  5. 手作りの小物を売るときに、気をつけるルールは?
  6. 売れたら、確定申告は要る?
  7. フリマアプリで売るときに、気をつけることは?
  8. はじめの一歩は、何から?

家庭菜園をしていると、きゅうりやトマトが一度に採れすぎて、食べきれないことってありますよね。ご近所に配っても余ってしまうと、「フリマアプリで売れたらいいのに」と思う方も多いのではないでしょうか。DIYで作った小物も同じです。ほかの人が売っているのを見ると、自分でも売れるのかな、と気になってきます。

この記事のポイント

採れた野菜を、そのまま(加工せずに)売るのに、許可は要りません。 ただ、切る・漬ける・ジャムにするなど手を加えると、保健所の許可が要るものがあります。

手作りの小物も、多くは許可なしで売れます。 ただし、石けん、手作りの食品、刃物、電気を使うものなどには、それぞれ別のルールがあります。

売れたお金は、売上から材料費などを引いた「所得」で考えます。会社員など一定の条件を満たす人は、給与以外の所得が年20万円以下なら、所得税の確定申告が原則いらない場合があります。ただし、住民税の申告は別に確認が必要です。

はじめるなら、小物はハンドメイドマーケットかフリマアプリ、野菜は少しなら知り合いや庭先が気軽です。

自分で作った野菜や小物を、個人が売ってもいいの?

売ること自体はできます。農家でもお店でもない個人が、自分で育てた野菜や、自分で作った小物を売るのに、特別な資格は要りません。ただし、品物や売り方によってはルールがあります。

ただし、次の3つは、売り始める前に確かめておきましょう。

  1. 売るものに、許可や表示のルールがないか(野菜の加工品、石けん、刃物など)
  2. 売る場所ごとの決まり(直売所の規約、フリマアプリの禁止出品物など)
  3. 売れたあとの税金(確定申告と住民税の申告)

順番に見ていきます。

どこで売るのが無難?売り先を比べてみました

まずは、どこで売るかです。はじめての方がつまずきにくいかどうか、という目で比べてみました。

売り先向いているものはじめやすさ気をつけたいこと
知り合い・ご近所に譲る野菜・小物◎少しの量なら気軽。お金を受け取るなら、値段は先に決めておくと気まずくなりません
庭先・畑の横の無人販売野菜○置き場所と代金箱の管理。道路にはみ出さないように【要確認:道路・敷地のルールの出典を付けるか】
直売所野菜(加工品や手工芸品を扱うところも)△出荷者として登録が要る。地域や運営元ごとに条件が違う
マルシェ・手作り市野菜・小物△出店料がかかる。主催者の出店条件を確認
フリマアプリ小物・野菜○販売手数料と送料。食品は出品できる条件がアプリごとに違う
ハンドメイドマーケット(ハンドメイド作品専門の通販サイト)小物○販売手数料。作品の審査や規約がある
産直サイト(農家と買う人をつなぐ通販サイト)野菜✕生産者として登録の審査がある。家庭菜園の量で使えるかはサイトごとに確認【要確認】

(手数料の率は、サービスや時期で変わるので、使う前に各サービスの案内で確かめてください)

いちばん気軽なのは、知り合いに譲ることと、庭先での無人販売です。ネットで売るなら、小物はハンドメイドマーケットかフリマアプリが、仕組みが整っていて安心です。野菜をネットで売る場合は、届くまでに傷むことや、食品のルールが多いことを考えておきましょう。直売所は、出荷者として登録できるかどうかが直売所ごとに違うので、家庭菜園の量でも出せるかを先に確かめておくと安心です。

販路ごとのくわしい比べ方や、特定商取引法(ネットで売るときに、売る人の名前や連絡先を表示するルール)については、手作りの作品をネットで売るときの注意点にまとめています。

直売所に出すって、どんな感じ?

直売所のことは、名前は知っていても、出す側の様子はなかなか見えませんよね。編集部のメンバーが、実家の農家の手伝いで、地元の農協が運営する直売所に野菜を出しに行ったときの話を紹介します。

この日に持ち込んだのは、朝採りのトウモロコシです。ここに書くのは、このとき訪れた直売所での様子です。

  • 収穫したら、販売する単位で箱や袋に入れて持ち込みます。
  • 生産者の名前が入った値札は、直売所のシステムから自分で印刷して、その場で貼っていました。値段が決まっている品は前もって印刷しておけます。
  • 同じ野菜を出しているほかの農家さんと、あまりにかけ離れた値段を付けるのは避けるのが暗黙の決まりのようです(野菜の状態にもよります)。
  • 並べる場所も大事で、少しでもよい場所に置きたいのはみんな同じ。この直売所では基本的に早い者勝ちだったようです。
  • 売れ残りは、自分で処理するのが基本ですが、直売所のルールに従います。

この日は、おかげさまで完売だったそうです。

それから話を聞いて思ったことは、「直売所は野菜作りと販売のための情報交換の場でもある」ということでした。今の自分が行っている栽培や値付けについて、より良い形の情報を仕入れることにも役立ちそうです。

ほかの直売所の規約も見てみると、ある町の直売所(規約の原案)では、出荷者として登録できるのは「自分で生産・加工・製造した人」で、住んでいる地域の条件がありました。登録の手数料と、売れた額から引かれる販売手数料がかかり、販売手数料の率は野菜と手工芸品などで違いました。陳列に向かないと判断された品は撤去され、引き取らないと廃棄の手数料がかかる決まりもありました。

条件は直売所ごとに違うので、出してみたい直売所があれば、まず家庭菜園の人でも出荷者になれるかを、窓口で聞いてみましょう。

野菜を売るときに、気をつけるルールは?

加工すると、許可が要ることがあります

採れたままの野菜は、許可なく売れます。気をつけたいのは、手を加えたときです。漬物やジャム、干し野菜、カット野菜などは、食べ物を作って売ることになり、種類によっては保健所の許可や届け出が必要です。

フリマアプリのメルカリでも、必要な許可のない自家製食品は出品できないとされていて、作る食品によっては、事前に保健所に確認するよう案内されています(メルカリ「食品・飲料出品時の注意点」)。

「漬物くらいなら」と思いがちですが、加工品を売りたくなったら、作る前に地域の保健所に相談しておくと安心です。【要確認:漬物・ジャムの記事ができたらリンク】

野菜にも「表示」のルールがあります

野菜を売るときは、名称(何の野菜か)や原産地(国産なら都道府県名)などの表示のルールも確かめておきましょう。生産した場所で売る場合などには例外がありますが、売り方によって扱いが変わります。直売所やネットで売り始めるときは、消費者庁の食品表示の案内や、お住まいの自治体の食品表示の窓口で確かめてください。

「無農薬」とは書かないようにしましょう

「無農薬」という表示は、買う人に誤解を与えるおそれがあるので避けましょう。メルカリでも、「無農薬」と表示した農産物は出品できないとされています。農薬を使わずに育てたことを伝えたいときは、農林水産省の表示ガイドライン(特別栽培農産物に係る表示ガイドライン)などを確かめて、実際の育て方に合った書き方を選ぶことが大切です。

苗や種を売るときは、品種を確かめましょう

野菜そのものではなく、苗や種を売りたい場合は、もう一つ確かめることがあります。種苗法(新しい品種を開発した人の権利を守る法律)で登録されている品種は、権利を持つ人の許しなく増やして売ることができません。【要目視確認:農林水産省の種苗法の案内。苗を売る記事を別に作るなら、ここは一文で済ませてリンク】

手作りの小物を売るときに、気をつけるルールは?

木の小物や布小物、アクセサリーなどの多くは、許可なしで売れます。そのうえで、次のようなものは、作る前に一度立ち止まって確かめておきましょう。

手作りの石けんやコスメ:体に使うものは化粧品にあたり、許可がないと売れません(手作り石けんは売れる?)。

ナイフなどの刃物:刃物には、持つことや持ち歩くことについての法律の決まりがあります(ナイフの自作と焼き入れ)。

キャラクターやブランドのロゴを使ったもの:市販のキャラクター柄の生地で作ったものや、有名ブランドに似せたものは、著作権や商標権の問題になることがあります。作ったものを売ってよいかは、権利の関係や生地の利用条件によって違い、生地の販売元の説明だけでは判断できないこともあります。迷うものは売るのを控えるか、権利を持つ会社の案内を確かめましょう。

電気を使うもの(ライトなど)、赤ちゃんが口に入れるおもちゃ:それぞれ法律で安全の基準が決められています。作って売りたいときは、先に基準を調べておきましょう。【要目視確認:電気用品安全法(経済産業省)・食品衛生法のおもちゃの基準(厚生労働省)の対象になるもの】

売れたら、確定申告は要る?

ここが、いちばん気になるところかもしれません。

この章の数字は、2026年1〜12月の売上について、2027年2〜3月に申告する「令和8年分」のものです。

まず「売上」ではなく「所得」で考えます

税金の話でいう「所得」は、売上から、かかったお金(経費)を引いた残りです。材料費、送料、販売手数料、梱包材などが経費にあたります。レシートや、アプリの売上の記録は、捨てずにとっておきましょう。

たとえば(計算の例です)、ハンドメイドマーケットで1年に30万円売れて、材料・送料・手数料に12万円かかったなら、所得は18万円です。

なお、家具や服など、ふだんの生活に使っていた物(生活に通常必要な動産)を売ったお金には、原則として税金がかかりません(国税庁の案内より。1個30万円を超える貴金属や美術品などは除く)。これと、もうけるために作った物や育てた野菜を売ることは別です。売るために作った小物や、育てた野菜の売上は、所得として考えます。所得の種類(「雑所得」か「事業所得」か)は、売る規模や、帳簿をつけて事業として続けているかなどで変わります。迷ったときは、税務署に相談しましょう。

自分はどれにあたる?3つのパターン

あなたの状況所得税の確定申告住民税の申告
会社員・パートなど(給与を1か所からもらい、年末調整を受けている)給与以外の所得が20万円以下なら原則いらない(国税庁 No.1900)所得税の確定申告をしない場合は、市区町村に申告が要るか確認
給与も年金もない人(家事が中心の方、学生など)所得の合計が、基礎控除などの控除の合計以下なら、所得税はかからないので、確定申告をしなければならない人にはあたらない。令和8年分の基礎控除は、所得132万円以下の人で104万円(国税庁の案内より)。ただし、所得税がかからないことと、住民税の申告がいらないことは別必要かどうか市区町村に確認
年金を受け取っている人公的年金の収入が400万円以下で、年金以外の所得が20万円以下なら原則いらない(国税庁 No.1600)所得税の確定申告をしない場合は、市区町村に申告が要るか確認

住民税の申告が要る理由は、住民税には所得税のような「20万円以下なら申告しなくてよい」というきまりがないからです。自治体の案内でも、給与や年金以外の所得がある場合は、所得の多い少ないにかかわらず申告が必要としているところがあります。申告の仕方や期限は、お住まいの市区町村の窓口で確かめましょう。所得税の確定申告をした場合は、その内容が市区町村に伝わるので、住民税の申告を別にする必要はありません。【要目視確認:お住まいの市区町村で扱いが違わないか。総務省の個人住民税の案内も付けるか】

「20万円以下なら申告しなくていい」は、所得税の話です。住民税の申告は、別に確かめましょう。

医療費控除などで所得税の確定申告をする年は、20万円以下の所得も含めて申告します。

家族の扶養に入っている方は、所得が増えると、家族の税金や健康保険の扶養に影響することがあります。【要目視確認:令和8年分の扶養の所得の目安(配偶者控除・扶養控除・社会保険)。数字を入れるか、「勤め先や健康保険の窓口に確認」にとどめるか】

令和8年分からは、税制改正で基礎控除や給与所得控除の額が引き上げられています。毎年のように変わる部分なので、申告の前には、国税庁のその年の案内で確かめてください。

続けて売るようになったら、事業所得にあたるかどうかや、開業届・青色申告の決まりを確かめておきましょう。【要確認:開業届の記事ができたらリンク】

フリマアプリで売るときに、気をつけることは?

最後に、フリマアプリで売るときの、一般的な注意点です。小物でも野菜でも共通です。

禁止されているものを、先に確かめる:食品は特に条件が多く、メルカリでは要冷蔵・要冷凍のもの、許可のない自家製食品などが出品できません。野菜を出すなら、加工していないことを説明に書く必要があります。

手元にいくら残るかで値段を決める:売れた額から、販売手数料と送料が引かれます。送料込みで出すなら、送り方と送料を決めてから値段を付けましょう。

写真と説明は正直に:小物なら傷やサイズ、野菜なら収穫日や大きさのばらつきを書いておくと、届いてからの「思っていたのと違う」を防げます。

自宅の住所を出したくなければ、匿名で送れる方法を選ぶ:アプリの匿名配送を使えば、相手に名前や住所を知らせずに送れます。【要確認:主なアプリの匿名配送の名前を出すか】

発送の期限を守れる時に出す:野菜は特に、収穫してから届くまでの日数を考えて出しましょう。

くり返し、たくさん売るようになったら:個人でも「販売業者」として扱われ、特定商取引法の表示が必要になることがあります(しかた02)。

はじめの一歩は、何から?

  1. 売りたいものを決めます。採れたままの野菜か、加工品か。小物なら、許可や基準のあるものでないかも確かめます。
  2. 売り先を一つ選びます。まずは知り合いや庭先、小物ならハンドメイドマーケットやフリマアプリから。直売所なら、出荷者になれるか窓口で聞きます。
  3. 選んだ売り先の決まりを読みます。直売所の規約や、アプリの禁止出品物・手数料などです。
  4. 売上と経費を記録しておきます。レシートを取っておき、売れた額とかかったお金をメモします。
  5. 年が明けたら、所得税の確定申告と住民税の申告が要るか確かめます。

食べきれなかった野菜や、作ってみた小物が、誰かの食卓や暮らしに届くのは、うれしいことですよね。決まりを一つずつ確かめながら、気軽な売り先から始めてみてください。

この記事は、国税庁や自治体の案内、フリマアプリ運営からの案内、直売所の規約などの公開資料をもとに調べた内容です(2026年10月27日時点)。税の数字は、2027年2〜3月に申告する「令和8年分」のものです。